『たまもの』小池昌代著(講談社)

幼なじみの男に預けられた血の繋がらない「山尾」という男の子と暮らす「わたし」の日々。その根底に流れるのは、不安や死やエロスを含んだどんよりとした仄暗さ。

私は何故この本を繰り返し手に取るのだろうと考えると、究極的には、最後の光がパァーっと差し込むような感覚を味わいたいからなのだと思う。

曇り空に急に差し込むかのような、その光。